具象表現は、体力と根気との戦いです
「イタリアの風景をステンドグラスにして!」という依頼を受けました。
すぐ頭に浮かんだのは、トスカーナのブドウ畑を縫うように走るジロ・デ・イタリアのレース風景でした。よしやるかと気合を入れましたが、時々中断してしまいます。具象画の遠近法は、非常に手間の掛かる難しい作業です。
特に表情の無い、被せガラスの色が掛かっている面を酸で洗いながら、腐食加工することによって、平面のステンドグラスパネルに奥行きや温かみをもたらします。
僕が得意とする技術ですが、近頃ますます深みにはまって行くようで、なかなか納得するところまで進みません。
焦らずゆっくりとガラスの表面を腐食させながら変化させます。
1日10時間程度の作業で捗るのは10~15ピースですが、このパネルには対象にしているピースが大凡300ほどあります。
この作業が、絵付け前の下地処理です。なかなか終わりません。