念願のガラスカッター

    10年くらい探していた平野製ガラスカッターを入手しました。


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修行時代から使っていたガラスカッターが5年ほど前に先端のダイヤが外れました。
作業台の凹凸の穴に転がり込んで行方不明です。
仕方なく、予備のものに取り換えて使っていましたが、いまいちシックリこないまま5年が経過しました。
ダイヤモンドガラスカッターの寿命は僕のような職人が使って26年でした。
バブル期を経てますので相当使っています。

現在では、ダイヤモンドカッターは一般的に使われなくなり製造もされていません。
このHIRANO製ガラスカッターが業務用の最高級品だと思います。
ヤフーのオークションでも無理だと諦めてました。・・・それなのに・・・先週寝る前に、何の気なしにオークションサイトを検索しましたら・・HIRANO.Co・・と書かれた文字が目に飛び込んできました。(新潟の建築会社に残っていたもの)
僕が通常使うのはA-2号というダイヤモンドカッターです。(ガラスの厚みと表面の金属質によってA-1も使います)

商品写真を拡大しましたところ金属の先端にA-2の文字、残り7時間とありました。
他に入札者がいても死に物狂いで取るつもりでした。
案の定、2名ほど入札者が出てきましたが、必要とする意識が全く違うので当然競り落としました。息子等の分まであります。
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26年使った先端です。









イメージ 3ヨーロッパのアンティークガラス(手吹き絵付け用)はダイヤで切ります。

もうひとつアメリカ製などの表面に凹凸のテクスチュアがあるガラスは硬質カーボンのローラーがついたもので切ります。

写真上のローラーで34年使っていますが健在です。
下が26年で、ダイヤが外れたカッターです。

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写真はフランス製のローラーとダイヤモンドカッターです。(上がダイヤモンドカッター)
師匠の今野満利子先生から戴いたものです。(先生が渡仏中、工房で留守番をしていた頃のお土産です)
なんとなく日本のものとは違います。デザインが良いのですが両方とも下方向への押す力が必要です。
それに比べて、平野製のガラスカッターは余計な力を掛けずに切ることができます。
長時間の作業にはバッチリです。

以前、先生から聞いた話ですがフランスでは、だいたい80枚のガラスピースを一日で切れれば一人前とのことでした。
自慢でもないですが、日本人特有の器用さが備わった僕は5年目くらいで一日250枚から400枚カットしていました。もちろん、型紙の大きさ通り、切り口もスッキリです。
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左の写真のカッターは宝物です。
机上サークルカッターでガラスを正円に切ります。
やはりHIRANO製です。









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参考にもうひとつ。
直径980㎜までの円を切るサークルカッターもあります。







僕のステンドグラス制作は、絵付け作業に重点をおいてますが、それとは別に様々な注文をこなす為の工具がいろいろ必要です。ガラスカットの他に鉛桟による組み立てなど多種多様で、現場も多岐にわたり毎回一点物の初めての作業です。仕事に慣れることがありません。
常に頭は試行錯誤の混乱状態で、必然的に花見など様々なお誘いもお断りすることが多く、友人知人には不義理を許して戴いてます。
今後は、プライヤーなどの特殊工具や、絵付けの筆などのお話もしたいと思います。